第174話:仕事を俯瞰して、客観的に見直す。キーワードは「貢献」

自分関係®カウンセラー(臨床心理士)の髙橋雅美です。

前回は、仕事を続けるかどうかを決断するポイントとして、成長と貢献がキーワードであるとお伝えしました。今回は、この「貢献」について、もう少々詳しくお伝えしていきたいと思います。

なぜ今、この仕事をしているのか?という問いに対し、様々な回答が可能であると思います。
・お金のため、しかも給料が高いから
・楽しいから
・人に自慢できるから
・やりがいを感じているから・・・などなど。

どの答えも間違いではありませんし、皆、それぞれで良いと思います。

以前、あるメディア関連の仕事をしている方のカウンセリングをしていた時のことです。彼女は、仕事の辛さを切々と話してくれました。仕事の辛さというのは間違いかもしれません。仕事上、やらなければならない業務については、むしろ楽しいと思っていたからです。

では、何が一番辛かったのか。それは職場の人間関係でした。特に、彼女の職場は男性が多かったらしく、女性というだけで妬まれたり、仲間外れにされたりといろいろな嫌がらせのような言動を受けていたとのこと。

誰がどんな風に意地悪なのか、どんな言動をされたのかと細かく説明してくれました。カウンセリングでは、話の内容が事実かどうかを確認する「聞き取り」をしているわけではないので、彼女の目にはそのように移ったんだ、彼女はそう感じたんだと感じながら話を聴いておりました。

一方で、それだけ足を引っ張られるというのは、彼女が取り組んでいることは魅力的なことではないかと思ったので、質問してみると、新しい試みでもあり、そもそも彼女の企画が認められて現在頑張っているとのこと。

聴いている私の方も、「それはすごい」「面白そう」などと心から思えたのでした。カウンセリングの終了間際に、彼女はモヤモヤした気持ちをだいぶ吐き出していたからでしょうか、大きく深呼吸をして、私に「仕事を辞めようと思うがどう思うか。」と聞いてきたのです。

カウンセラーがそのことに対して、辞めた方が良いとか、辞めない方が良いということは基本的にはありません。彼女の人生の大きな決断に対し、軽々しく意見をしたりしません。

ですが、正直に、彼女が取り組んでいる仕事に対して「すごい」とか、「面白そう」という気持ちになったことをお伝えしました。そして、ぜひその企画を完成させて、私たちに伝えて欲しいと話したのです。

その時、彼女は、本来、自分がこのメディアの仕事に就いた時の気持ちや、この企画を考えた時の本気を思い出したのでしょう。涙ながらに「そうでした。私はこの情報を多くの人に伝えるためにこの仕事を選び、この企画も考えたんです。やり遂げなければ。」と話してくれました。まさに、仕事を通じて誰に何を「貢献」できるのか、するのかを思い出した瞬間でした。

なんだか、ご自分の「使命」を思い出したかのような力強い言葉に私もうれしくなったことを覚えています。

目の前に辛いことがたくさん山のように積み重なっている時は、そのことで頭がいっぱいになりがちです。でも、そんな時でも、少し俯瞰的に、客観的に仕事を通じて「誰にどんな貢献をしているのか」を思い出してほしいのです。

彼女の悩みの本質は、職場の人間関係を改善していくことではありますが、仕事を辞めることではなかったということです。

<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>

まとめ
息詰まった時こそ、誰に何を貢献できる仕事かを見直してみよう

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