第234話:在宅勤務時の部下へのサポート 3つのポイント
自分関係®カウンセラー(臨床心理士 / 公認心理師)の高橋雅美です。
緊急事態宣言が一部解除されましたね。ですが、以前のような生活に戻るとはいえないようです。
しばらくは在宅勤務も継続されるでしょう。このブログは管理職やリーダー職の方も多く読まれているので、今回は、在宅勤務中の部下が心身ともに健康で働けるよう、上司としてどんなサポートが望ましいのか、どんな点に留意して心のサポートを実践すればよいのか、そのポイントをまとめました。
ポイント1 定期的に状況や体調をヒアリングする
これまでの働き方とは異なる状況が続いている中で、誰しも相当なストレスを抱えているはずです。その中で、しっかりと仕事をこなし、しかも成果を出すことがさらなるプレッシャーとなっているとも言えるでしょう。
まず行うことは、定期的なヒアリングです。ヒアリングする内容は、主に以下の3つ。
1. 仕事の状況、進み具合について
2. 自宅での生活について
3. 心身の状態について
1については、言うまでもありませんね。ただし、仕事の進み具合だけをヒアリングするのは、上司として部下の心身の健康への配慮が足りないとも言えます。業務を進めるにあたり、困っていることや不安に思っていることについても必ずヒアリングしましょう。
また、部下が頑張っている点については、言葉にして「頑張っているね」と伝え労いましょう。改善して欲しい点を伝える際は、まず、「出来ている点を伝える」→「改善点を伝える」という順番で伝えます。
2の自宅での生活については、規則正しい生活が送られているか、食事や睡眠が十分に取られているかなどを確認してください。
3の心身の状態へのヒアリングは、やる気が起きない、不安が拭えないなどの心の症状、また頭痛や腹痛など何等かの身体症状が出ていないかをヒアリングしてください。
この3の聞き取りは大変デリケートな内容でもあります。部下があまり話したがらないようなら、根掘り葉掘り聞かず、「何かこれまでとは違うと感じることがあったら教えて欲しい」「今はストレスがかかる状況なのだから、不調になることもあり得る。だから一人で抱えないで話して欲しい」と伝えましょう。
ポイント2 質問して悩みを引き出す
実は、在宅勤務時においても、様々な人間関係の悩みが隠れています。部下が一人暮らしの場合は、「孤独」という悩みもあります。
あるいは、オンライン会議をする中で、ある特定の人や特定の業務に関する不満などを抱えることもあります。それを職場で同僚に話したり、相談したりできない環境なわけですから、あえて、チームや人間関係について質問してみてください。
1.「チームについて」「人間関係について」困っていることはないか
2.「チームについて」「人間関係について」不満に思っていることはないか
3.「チームについて」「人間関係について」改善できることはないか
あなた自身も上司として、この非常時を初めて体験されているわけですから、ご自分の「心境」や「困っていること」なども上手に自己開示しつつ、「安心して相談して良いんだよ、話していいんだよ」という雰囲気を作ることは非常に大切です。いろいろ工夫しながら質問してみてください。
改善策はすでにその答えを部下がもっている場合もあります。「どうやったら改善できるかと思うか」と部下に、質問してみましょう。その考えをすぐには否定せずに、「そうか、そう思っているんだね」「そういう考えもあるよね」とまずは受け取り、上司として出来る改善を行ってください。
ポイント3 気を付ける点について
繰り返しになりますが、以下のことには十分に留意してください。
1.部下が話したがらないことを、根掘り葉掘り聞かないこと
2.部下のことを「気にかけている」、「心配している」ことを伝えること
3.「一人で抱え込まないようにして欲しい」と伝えること
聞き取った情報、特にプライベートな、デリケートな情報に関して、個人情報の扱いにはくれぐれも注意しましょう。事前に、社内で情報を誰と共有するのかを決めておくことをお勧めいたします。
本人の許可なく、チームメンバーに公表することのないようにしてください。
ここまで、3つのポイントについてお伝えしてきました。これらを、部下の自宅の環境にも配慮しつつ、オンライン会議、電話、メールなど状況に応じて行ってください。
もし、気になる部下がいる場合は、出来るだけ、顔が見られるオンライン会議、話口調がわかる電話を利用することが良いと思います。
上司自身のケアについて
さらに上司であるあなた自身のケアとして大切なことを2つお伝えします。
1.あなた自身が「一人で抱え込まないこと」
部下の話を聞いて、自分ひとりで対応するのが難しいと判断した場合は、やはり一人で抱え込まないでください。上司や会社の人事や総務などの担当部署に相談してサポートを受けてください。
もしあなたの会社で産業医や保健師、心理士などがいれば、彼らのような産業保健スタッフに相談するか、あるいは部下が直接、産業保健スタッフに相談するように促しましょう。
また、可能であれば、部下同士が緩くつながれるようなオンラインでのチャットなどを活用しても良いと思います。仕事上、必要なやりとりだけではなく、日々のちょっとした雑談ができるような「息抜きの場」を作ってみてはいかがでしょうか。
2. 部下のプライベートな悩みを聞く時は慎重に
業務上のことではなく、家庭のことやプライベートな悩みを聞く時は慎重になってください。あなた自身はカウンセラーではありません。あまり深入りしてしまうとご自分が苦しくなります。
部下の辛い気持ちに寄り添いつつも、少しでも気持ちが楽になるように、上司として「業務上、何かサポートできることはないか」と尋ね、あくまでも仕事上のサポートをしてあげてください。
まとめ
定期的に状況や体調をヒアリングする。チームや人間関係について質問する。個人情報の扱いには十分注意する。
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