これまで人とうまくやっていくために、周囲に合わせてきた。
反対意見を言えば「生意気」と思われるのではないか。「かわいげがない」と言われたらどうしよう。
そんな思いから、なるべく角が立たないように言葉を選び、相手の考えに同調する・・・
1つでも思い当たることはありますか。もしかすると、それがあなたの処世術だったのかもしれませんね。
でも、管理職になれば求められるのは「人当たりの良さ」だけではありません。
意思決定の場面では、自分の考えや価値観を言葉にすることも必要になります。
ところが、自分の軸が曖昧なままでは、何をどう伝えていいのかわからず、焦りや不安だけが募ってしまいますよね。
嫌われたくない。その根っこにある体験とは
このような心理の背景には、幼少期の体験やこれまでの人間関係が深く関わっていることがあります。
たとえば、厳しい親に育てられ、常に「嫌われないように」「迷惑をかけないように」と振る舞ってきた人ほど、自分の気持ちや意見を出すことにブレーキがかかってしまいます。
「自分の考えを伝えると、相手の機嫌を損ねるかもしれない」
「否定されたらどうしよう」
「自分の感覚はズレているんじゃないか」
そんな不安が心の奥底に根付いていると、無意識に他人の価値観に合わせてしまいます。すると次第に、自分の感情や考え方がわからなくなってくるのです。
「好き」や「心地よい」がわからなくなっていく
「これって楽しいよね」と誰かが言えば、「うん、そうだね」と答える。
でも、本当に自分もそう思っているのかは、よくわからない。
「好き」や「心地よい」といったシンプルな感情でさえ、実感が持てなくなってくる……
実はカウンセリングの現場では、そんな声をよく耳にするのです。
とはいえ、「これからは自分の考えをしっかり伝えよう!」と決意しても、そう簡単に振る舞いを変えることはできませんよね。
「変わりたい」「変わらなきゃ」と焦れば焦るほど、空回りしてしまう。そんな苦しさもまた、真面目で責任感の強いあなたの証なのだと思います。
第一歩は「心地よい人」を見つけて観察すること
本気で変わりたい!と思った時におすすめしたいのが、「自分が心地よいと感じる人」を意識して見つけることです。
たとえば、あなたの職場やまわりに「この人、なんか素敵だな」「一緒にいて気持ちが楽だな」と思える人はいませんか?
その人の話し方や考え方、振る舞いをじっくり観察してみましょう。
もしかすると、あなたが「心地よい」と感じるその人は、あなたの内面が共感している価値観を持っているのかもしれません。
「自分らしさ」は感情の積み重ねから育つ
そして、あなた自身が何に心地よさを感じたのか、どんな考えや行動が「いいな」と思えたのかを、ぜひ書き出してみてください。
ノートやスマホのメモでも構いません。
週に1回、5分でも時間を取って、「あ、これ好きかも」と思ったことを記録していく。
それだけでも、あなた自身の感性や価値観が、少しずつ輪郭を持ち始めていきます。
自分らしさや自分の軸というのは、「私らしく!」と意識した瞬間にパッと見つかるものではありません。
小さな感情の積み重ねの中から、「私はこう感じるんだ」「こういうのが好きなんだ」と気づいていくものなのです。
焦らず、しなやか★メンタルを育てていこう
周囲を驚かせるような立派な意見を言えるようになる必要はありません。
まずは、「私はこう思った」「これが心地良い」といった自分の感覚を大切にしていくことが、しなやか★メンタルへの第一歩なのです。
まとめ
自分の心地良さを大切にしよう


