今日は心理カウンセラーになりたてのころや昔のことをいろいろと思い出したので、あるクライエントさんとのやりとりについてお話していきますね。
といっても、個人情報はお伝えできないため、多少の創作となっていることはご了承くださいね。
その方は40代半ばで、正社員として比較的大手の企業で働いている方でした。
Kさんと呼ぶことにします。
Kさんは、もともとはスポーツが得意で活発な性格。まわりにも友達が多く、にぎやかな環境で過ごすことが多い方でした。
ところが、30代の時に仕事が忙しくなり、後輩の指導も任されてしまい、メンタルダウンしてしまいました。
当時はクリニックに通院していたそうです。
その後は元気になり、仕事にも頑張れるようになったのですが、40代になってからは、「自分にダメ出し」をすることが多くなってしまったのですね。
それは、メンタルダウンをしたことが大きく関わっていました。
Kさんの中では、「メンタルダウンした私」イコール「仕事が出来ないダメな自分」となってしまったのです。
話を聴きながら、Kさんは十分に頑張っていると思っていましたし、「カウンセリングを受けることで変わりたい!」という強い気持ちを持っていたので、Kさんがダメ出しするたびに「そうは思わないですよ。」と伝えていました。
本来カウンセラーは、クライエントさんが「○○だと思う」ということに対して、まずは否定せずに聴かせていただくのですが、Kさんの自分へのダメ出しは、Kさん自身を苦しめていると感じていたので、あえて否定していたんですね。
実はKさんのお母さんが、何でも上手にできるスーパーウーマンのような方だったそうです。
一緒に住んでいた時は、お母さんは、Kさんがうまく出来たことはとてもほめてくれたけど、出来なかったことは無視されてきたのだそうです。
当時、まだ小さかったKさんは、そんなお母さんの言動に心を傷めていたのです。
だから、「頑張っている自分は素晴らしい」、「結果を出せた自分は凄い」と思えるのですが、出来なかったことに対しては、当時のお母さんがKさんにしていたように、「こんなはずじゃない」と受け入れられなかったり、「出来ない自分はダメなんだ」とダメ出しをしてきたのですね。
これは辛い・・・
出来ない自分でいることを受け入れられない、つねに120%で頑張り続けなければならないってしんどいですよね。
だから、私はあえてKさん、そしてKさんの心の中にいる「Kさんのお母さん」に向かって「Kさん、頑張っているよ。」「出来ない時もあっていいんだよ。」と言い続けました。
Kさんとのカウンセリングでは、Kさんの気分が揺れ動くことも多々ありましたが、無事に卒業の日を迎えることになりました。
メンタルもだいぶ安定して、仕事に対しても、自分に対してもかなり前向きに向き合えるようになっていました。
Kさんにあらためて感想を聞いてみると「髙橋さんが、いつもほめてくれたことが嬉しかった。」と話してくれました。
あ~Kさんの心に届いていたんだなアと安堵しましたが、カウンセリング終了後は、Kさん自身が、Kさんのダメ出しに反対する「もう一人のKさん」を育てていってほしいと伝えました。
もう一人の自分は、「そんなことはない、私は十分頑張っている」とか「出来ないこともあるよね。私はスーパーウーマンではないからね。」と心の中で自分に反論し、優しい言葉をかけることで少しずつ育っていくのです。
Kさん、きっと元気で過ごしているよね!と思っています。
さて、あなたは自分に厳しすぎることはありませんか?ダメ出しばかりだと辛くなります。
もう一人の自分(甘やかせてくれる自分、優しい言葉をかけてくれる自分)が育っていますか。
<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>
まとめ
心の中に自分を肯定する「もう一人の自分」を育てよう