第238話:職場の苦手な相手が教えてくれる 貴女への贈り物とは
自分関係®カウンセラー(臨床心理士 / 公認心理師)の高橋雅美です。
職場に苦手な同僚がいる場合、毎日ほとんど顔をあわすことになるわけですから、ストレスがかかるものです。
先日のご相談で、「職場で苦手な同僚がいると気づいていました。自分は彼女のことが嫌いなんだと思います。というのも、仕事に一貫性がなく、後輩への接し方もヘラヘラしていて、先日は自分の担当の仕事に対して後輩と一緒になって陰口をたたいていたんです。」と、F代さんは話しだしました。
実はF代さんは、その言動にモヤモヤしていたのですが、アサーティブコミュニケーションについてすでに学んでいて、同僚に自分の気持ちを伝えたというのです。
どうやって伝えたのかと伺うと、いわゆるアイメッセージで。つまり、「自分はこう感じている」「私はこう思った」と自分を主語にして気持ちを伝えたのだそうです。
F代さんは、陰口をたたかれていた行動というより、その内容に腹が立っていたのです。同僚がF代さんがこれまで一所懸命になって取り組んできた業務に対して、それをあたかも「価値がない」つまり「役に立たない業務」と言わんばかりだったからです。
そんな言い方をされて悲しかったという気持ちを伝えた上で、同僚に、「あなたはどう思っているの?」と聞き返したそうです。相手はずっと黙ったまま。つまり、同僚は普段から自分の考えを持っておらず、後輩とのやり取りの中で、なんとなく流れで同調していたんですね。
思い切って勇気を振り絞って同僚にアイメッセージを伝えたF代さんでしたが、相手があまりに「カラッポ」だったことにショックを受けたことを話してくれました。
そして、この同僚と今後、いかに付き合うか、関わるかという話題に移っていったのです。
さて、皆さんならどうしますか。あまり真剣に相手をしても反応がないから出来るだけ関わらないようにしますか。
F代さんは、職場で唯一、自分とその同僚がある専門職の資格を持っているということもあり、これからも協力して仕事をしたいと思っていたのですね。だから、「関わらない」のではなく、「関わり方を変える」ことを選んだのです。
さて、貴女もおそらく職場に数人の苦手な相手、どうしても好きになれない相手がいるのではないでしょうか。彼や彼女を好きになる必要はありませんが、上手に関わりたいと思っていませんか。
そんな時に関わり方3つのポイントについてお伝えしますね。
アイメッセージで伝える
時にはポジティブな発言も
自分の劣等感を見つめよう
まとめ
アイメッセージで伝える
これは今回、F代さんがしたようなことです。自分が持っている「相手にはこうあって欲しい」、「こうすべきだ」という価値観で相手を責める言い方ではなく、自分の気持ちを伝えるということです。
アイメッセージで伝える貴女の感情は誰にも否定できません。また、相手も「私はこう思う」と自分の考えや意見を言える状況にあるので、相手が悪いという責め合いではなく、建設的なやりとりが出来るのです。
なので、これからも感情的にならずに、アイメッセージで伝えるということはとても重要なのです。
時にはポジティブな発言も
ですが、そのメッセージが毎回否定的な内容だと、やはり相手と良好な関係をつくるには時間がかかります。
だから、好きではない相手だとしても、「良いところ」「出来ているところ」を探して、伝えるという努力や工夫も必要になります。
自分の劣等感を見つめよう
F代さんに、「相手の良いところを見つける練習を」「時にはポジティブなやりとりをすると良い」と伝えると、彼女の表情がサッと変りました。
というのも、F代さんは自分を含めて、人の良いところを探すということがとても苦手だったからです。自分の中に根強い劣等感を持っていたからです。
だからもともと自分にも厳しく接していたのですね。「自分には出来ない」「自分なんてまだまだ」とダメ出しをしていたのです。
同僚の言動にF代さんがイライラするのも、彼女が持っている劣等感を刺激するからなんです。
F代さんは、「これは相手の問題ではなく、私の問題だ」と気づかれ、同僚と上手くやっていこうと頑張るのではなく、まずは自分の長所を探していくというミニワークを毎日行うことにしたのでした。
まとめ
人間関係の問題は相手だけが原因ではないこともあります。F代さんのように、自分の未解決な感情が原因で同僚を許せなくなることもあるのですね。
苦手な相手を出会った時、その人は貴女に何等かのメッセージを伝えてくれる人であったりします。F代さんは、今回のことで、「もっと自分の良いところをみつける」という自分の課題に取り組むことになったのでした。
<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>
まとめの一言
人間関係の課題解決は自分の心を見つめることから始まる