第80話: 復職を前にネガティブ思考から抜け出せない。対処法は?

自分関係®カウンセラー(臨床心理士)
ストレスフリーアドバイザーの髙橋雅美です。

Hさんは、同期入社の中では比較的早く係長に昇進しました。昇進後
も、これまで通り、懸命に働きました。働くことは楽しかったとおっ
しゃいます。

ですが、課長との相性が良くなかったのですね。Hさんに対して、
期待が高かったというより、自分の立場を脅やかす存在として認識
してしまったようです。

そのため、Hさんにだけ日々叱責やダメ出しなどが続きました。頑張り屋
のHさんも、次第に自分は「能力がないのではないか」と自信を持てなく
なり、メンタルヘルス不調で休職することになってしまいました。

休養期間を終え、復職するメドがたってきました。職場側の理解もあり、
以前の部署への復帰ではなく、管理部門に復職することになったとの
こと。良い条件の中での復帰ですが、Hさんの気持ちは晴れません。

なぜなら、復帰する自分が、新しい部署でどう思われるのか?が気に
なって仕方ないというのです。「恥ずかしい」とか、「厚かましいと
思われるのではないか」という発言が続きました。

抑うつ状態はだいぶ改善されているものの、やはり不安に襲われると
ネガティブな考え方に傾いてしまうようです。そして、そこから抜け出せ
なくなっているのですね。

ですが、このような考え方こそが、復職後のHさんを最も苦しめる
ことになるのです。偏った考え方に陥った時、どう気持ちを立て直す
か、それこそがHさんに求められているのです。

カウンセリングでは、まず不安な気持ちを思う存分語ってもらいました。
吐き出したら、少し気分が楽になったのでしょう。今後は自分から、
「考えすぎですよね」と話し始めたのです。

人は自分の話を否定しないで聴いてもらうという体験をすると、気持ち
がラクなり余裕が持てるようになります。そのため、別の考えを受け入れる
ゆとりが出来たのですね。

「そもそも休職したのは、自分に非があったわけではない。」「これだけ
好条件で復帰できるのは有難い」「恥ずかしいのは、自分を追い詰めた
課長の方ではないか」と一気に話されたのでした。

それを聞きながら、今度は私が、揺れ動く気持ちを立て直そうとしている
Hさんの努力を労いました。ネガティブでもポジティブでもない、とても
バランスのとれた考え方だと感じたからです。

Hさんの中には、ネガティブ思考のHさんもいますが、バランスのとれた
考え方ができるHさんもいるわけです。Hさんにはそのことに気づいて
もらいたかったのです。

どちらのHさんの言い分にもしっかりと耳を傾けたので、Hさんの気持ち
はしだいに落ち着いていかれました。それをカウンセリングという場だけ
ではなく、日々日常でHさん自身が出来るようになれば良いのです。

正式な復職までまだ時間があるので、Hさんの自問自答のサポートが
出来ればと思っています。ネガティブな考えが悪いのではありません。
バランスの取れた考え方が出来るようになれば良いのですね。

自分で出来るようになるためのヒントは、まずネガティブ思考について
考えても良いと自分に許してあげること。次に15分と時間を区切って、
ネガティブ思考は一旦棚上げにしましょう。

そして、ネガティブ思考に反論するようなバランスのとれた考えが
ないかどうか考えてみましょう。頭に浮かんだことは、書き出しておくと
良いでしょう。

<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは
異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>

まとめ
ネガティブ思考に偏っても恐れない。すぐに別の考え方が出来ないか考える習慣を!

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