「後輩に気を遣いすぎて、言いたいことをはっきりと言えないんです。」というAさんからご相談です。
Aさんは40代前半で、チームリーダーを任されています。彼女の後輩というのは、同じチームメンバーの30代女性のことです。
Aさんは、常日頃から後輩(Bさんとしましょう)に、色々と気を遣うことが多いのですね。
というのもBさん、とても自信家で、自分のミスを認めないタイプなんです。
だからAさんがBさんに、ちょっとでもアドバイスしようものなら、Bさんがとたんに不機嫌になってしまうのです。
不機嫌になるなんて・・・心が未熟な方ですよね。
でも、そのBさんに気持ちよく仕事をしてもらいたいと思っているAさんは、なかなかBさんに言いたいことが言えずにいるのです。
そして決まって言えずに終わり、モヤモヤした気持ちを家まで持ち込んでしまうのですね。
私が40代で会社勤めをしていた頃は、上司に対して言えないことはありましたが後輩に気を遣うということはあまりありませんでした。
だから最初はAさんの気持ちがよく理解できなかったのですが、Bさんとのエピソードを聞いていくと、Bさんとの言葉のやりとりでは、相当神経を使わなければならない事情がわかってきました。
これはAさん自身の「課題」だけではなく、Bさんの「未熟さ」も原因ではあるのですが、Aさんの立場で出来ることを一緒に考えていくことになりました。
今回AさんがBさんに伝えたいのは、「他部署の方から仕事の依頼があったら、出来ませんとすぐに拒絶しないこと。リーダーに相談してください。」ということ。
さて、Bさんにどう伝えたら角が立たないのでしょう。
これまでAさんが取ってきた行動は、「Bさんに伝える」か「Bさんには伝えずに自分で対処する」の2択だったのですね。つまり、100かゼロだったということ。
そして、「伝えない」という選択をした時のモヤモヤを自分1人で抱え込んでいたのです。
実は、これは間違い。
重要なのは「伝えるか、伝えないか」ではなく、「どう伝えるか」だからです。
だから、Aさんには、「伝えること」を前提に、「どう伝えるか」を考え、実践してもらうことにしました。助言や指摘を伝える場合は、相手が受け入れられるように伝えることが大切です。
私がお伝えしたのは、「サンドイッチ話法」です。
聞いたことがある方も多いかもしれませんが、ポジティブなこと→ネガティブなこと→そして最後に再度、ポジティブなことを伝えるという方法です。
いきなり指摘された場合、私たちは「警戒心」を持ってしまい、自分の心を守ろうとします。そのため、指摘に対し、反論や言い訳などをしてしまうのですね。
だから、まずは、ポジティブなことを伝えるのです。出来ていることなどを伝えましょう。いつも頑張っているねという褒め言葉でも良いでしょう。
次にアドバイスを伝えます。
最後は、もっと期待していますよという言葉がけをすると、相手は、指摘さえも受け取りやすくなるのですね。
いかがですか。たったこれだけ、伝え方を変えるだけです。
今回、Aさんには、具体的にどんな言葉でどう伝えるのかという「シナリオ」も作ってもらいましたよ。
シナリオを作り、事前に練習するようにともお伝えして、AさんはBさんに伝えることが出来たのですね。
なんと、Bさん、あっさりと「わかりました。」と返事をしたそうで、Aさんもあっけない終わり方に驚いていました。
でも、言いたいことは伝えられたし、何よりBさんがわかってくれたので、Aさんはリーダーとして自分のやるべきことが出来たと安心できました。
ハッピーハートコンシャスでは、コミュニケーションの方法についてじっくりと学んでいただくカウンセリングを実施しています。
特に、同性の後輩への伝え方などに悩む方が多いので、シナリオづくりのお手伝いまでしています。
サンドイッチ話法の他にも、DESC法(デスク法と言います)などの伝え方があり、カウンセリングで学んでもらっています。