第105話:専門外の仕事への戸惑い。転職のメリット、デメリットは

自分関係®カウンセラー(臨床心理士)
ストレスフリーアドバイザーの髙橋雅美です。

「キャリア」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるで
しょうか。「仕事」という答えが圧倒的に多いのではないかでしょ
うか。しかしキャリアとは、仕事だけを意味するのではないのです。

仕事はもちろん、プライベートも含めた生き方そのもの。
それがキャリアなんですね。なので、将来のキャリアを考える
時は、広い視野で「人生をデザインする」発想が必要なのです。

比較的若い方の中には、学生時代に自分が学んできたことに自信
を持ち、それは良いことではありますが、その専門性が活かされ
ないことに不満があり、すぐに転職を考える方もいます。

大学院を卒業してIT関連の会社に勤めたSさんもそんな一人。
社会人となり、専門外の仕事を任され、うまく出来ないことに
自信をなくしてしまいました。

自信をなくした自分自身にもふがいなさを感じ、自分で自分を
許せなくなっています。こんな自分でいるくらいだったら、
いっそのこと転職しようかというお悩みです。

でも、一方では、すぐに投げ出しているのではないかという
思いもあり踏みとどまっています。このような時、キャリア
カウンセリングで、Sさんの思いを整理する機会がありました。

話を聴いていくと、現在のSさんの所属は、確かに学生時代の
専門分野ではなさそうです。しかも本来自分が描いていた分野
でもなさそうです。

つまり、この会社でこんなことが出来たらいいなあ・・という
花形の分野とはちょっと違う、少し特殊な仕事なのですね。
実はその点にもSさんは不満があったのです。

「この仕事をこのまま続けていって良いのだろうか。」
「自分にとって、この仕事は価値があるのだろうか」
そんな言葉が出てきます。

Sさんが30代後半から40代であれば、転職というのは前向き
な選択肢だと考えます。ですが、Sさんはまだ20代後半です。
私自身は転職は少し早まった考え方だと感じました。

というのは、長いキャリアを考えた時、学生時代の専門性を持った
Sさんに、現在のやや特殊な分野の知識を経験という新しいキャリ
アがあれば、将来きっと強みになるのではないかと考えたからです。

それを率直に伝えると、Sさんも「うーん」と悩んでいます。
本当は、自信がない自分を持て余していた、仕事がきちんと
出来ない自分を恥じていたという本音を語ってくれました。

そうであれば、今Sさんに必要なのは、転職活動をすることでは
ありません。社会人としての「基礎力」をつけ、今、与えられた
仕事がきちんとできるようになることです。

もちろん転職することを否定はしませんが、すぐ決断しなくても
良いのです。キャリアに深みを持たせてから、より良い条件で
転職を考えた方がSさんにとってメリットは大きいようです。

<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった
形で書いております。何とぞご了承ください。>

まとめ
専門外の仕事もキャリアの深みになると捉え、将来に活かす発想を

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