言い訳ばかりする部下とのコミュニケーション 傾聴の基本のキ

部下の話を傾聴する

言い訳ばかりする部下とのコミュニケーション 傾聴の基本のキ

ハッピーハートコンシャス代表カウンセラー/臨床心理士 / 公認心理師の高橋雅美です。

「チームメンバーの中に、いつも「でも、だって」と平気で堂々と言い訳をする20代後半の男性社員がいるんですね。今までも彼に対して、話を聞いてフォローしてきたつもりなんですけど、全く進歩がないんです。それで自分の「傾聴」の仕方にもっと工夫ができるのではないかと思っているんです。」A子さんのお悩みです。

さて、こんな時、貴女ならどうしますか。

ハッピーハートコンシャスでは、30-40代の働く女性の方が多くカウンセリングをお受けになっていらっしゃいます。この世代の方々は、職場ではリーダーや管理職を任させていることも多く、お悩みとして多いのが部下との「コミュニケーション」なんですね。

家族や友人や知人などの親しい間柄ではなく、社会人として、ある程度の距離を保ちながら、しかも、言いにくいこともしっかり、はっきり伝えなければなりません。それが上手く出来ずに自信をなくしてしまうという方もいらっしゃるくらいです。

BlogB一方で、今、コミュニケーションは「伝える」ことだけではなく「聴く」という力も求められています。つまり、傾聴です。その大切さがクローズアップされているのですが、これが「理解するのと出来るのとは違う」わけで、大変難しいのですね。

今回のコラムでは、この「傾聴」と「コミュニケーション」についてお伝えしていたいと思います。

傾聴とは何?基本姿勢は?

相手が話す「内容」にすぐに反応しない

聴いている自分の「感情」にも気づいていく。

傾聴とは何?基本姿勢は?

傾聴って何ですか?と言われたら、どう答えますか。一言で表すのは難しいですが、

・さえぎらずに話を聴く

・共感と同意は異なる

・意見やアドバイスはしない

といったところでしょうか。

ここで大切なことは、相手のことをすぐに「わかったつもりにならない」ということです。その姿勢を持ちながら、相手の話に耳を傾けることが大切なのです。

では、ここで冒頭の場面を思い出してください。その男性社員の方をB君としましょうか。B君に対して、「またいつも同じ言い訳している。」とわかったつもりにならないこと。そして「だから、○○したらいいよ。頑張ってみて。」と結論をこちらから言わないことが大切なのです。

相手が話す「内容」にすぐに反応しない

BlogAそのためには、相手が話す「内容」について、すぐに反応しないこと。つまり、評価しないということ。話の内容ではなく、それを話す相手の「感情」に焦点を当てることが重要なんですね。

ですが、A子さんとしては、「言い訳」を聞き続けるのはしんどいですよね。でもB君が「何を言っているか」だけに注意を向けてしまうと、イライラしたりアドバイスしたくなってしまいます。

だから、ここは一旦、視点を変えて、このようにいつも言い訳してしまうB君はどんな「感情」なのだろうと考えてみること。もしかしたら常に自信がないのかもしれないですよね。だけどそれを見破られたくないから「言い訳」してその場を取り繕うとしているのかもしれません。

A子さんによると、20代でこのプロジェクトに関わるのは、かなりのチャレンジだとのこと。そう考えると、B君は、背伸びしているのかもしれない。でもそれを他のメンバーには知られたくない気持ちがあるのかもしれないと言います。

そうであれば、B君は弱みを見せたら、何を言われるかと怯えているのかもしれません。「平気で堂々と」しているというのも、精一杯虚勢をはっているのかもしれないですよね。でもそれをA子さんはB君に言う必要はないものの、「もしかしたらそうかもしれない」と思って聴くと相手に対する見方が少し変わってくるのではないでしょうか。

聴いている自分の「感情」にも気づいていく。

とは言っても、言い訳ばかりするB君を目の前にして、A子さんにも様々な感情が沸き起こりますよね。怒りを感じるかもしれません。ですが、ここでA子さんは自分の感情は否定する必要はないのです。やるべきことは、どうして怒りを感じるのかな?と今度は自分の心に訊いていくことなのです。

実はA子さん、「もういい加減して!」という感情が湧いてくると話してくれました。つまり、B君がいつもそんな態度なので、Aさん自身がリーダーとして無能であることをつきつけられているように感じるからというのですね。そうなると、これはA子さんの課題ということになりますね。

「傾聴」ってハードルが高いのです。A子さんは、相手の話を聴いて解決しようとしない、まずは相手をわかろうとすることの大切さに気付いてくれました。私たちカウンセラーは「傾聴する」ことの難しさを身をもって知っています。だから、すぐに出来るようになることを目指すのではなく、出来ることからやってみて欲しいです。そして、すぐに出来なくても良いので、わかったつもりにならないという基本的な姿勢をどうぞ忘れないでくださいね。

<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>

まとめ

傾聴の基本姿勢は「わかったつもりにならない」こと

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