第171話:常にモヤモヤ、なんか満たされない。未完了の気持ちの扱い方

自分関係®カウンセラー(臨床心理士)の髙橋雅美です。

Eさんは、40代で子育てをしながら、公務員として仕事も頑張ってきた努力家です。子育ては一段落し、仕事の方では管理職を任され充実した日々を送っています。

ですが、Eさんの心の中には、いつも霧がかかっているようで、常に「何か足りない」という欠乏感があるのでした。そのため、傍目にはとても満たされ羨ましがられるような生活を送っているのに、なんとなく、幸せを実感できずに過ごしていました。

実はEさんには、3歳上のお兄さんがいるのですが、幼少時から両親がお兄さんばかりを可愛がっていて、自分はあまり愛されなかったという気持ちを長い間ずっと持ち続けていたのでした。

日々の忙しさで普段は忘れている感情だったのですが、つい先日、実母が怪我をしたことがきっかけで、ひさしぶりに実家でお兄さんとお母さんと顔を合わせたのですが、その時の母親の言動にひどく傷ついてしまったのです。

お母さんは、お兄さんに対して「頼りにしているよ、助かるよ。」という言葉をかけたのですが、Eさんに対しては「有難う」という感謝の言葉すらなかったのだとか。

Eさんは、カウンセリングで「こんな良い年をして、いい加減、母親がなんと言おうと、どんな態度を取ろうと、もう関係ないと思っていたのですが、悔しくて、悲しかった。」と涙を流されました。

Eさんは、10数年前に一度、両親が健在の時に、「兄ばかりが可愛がられていて、自分は辛かった。」という気持ちを伝えたのだそうです。それに対し、父親は、「そう感じていたのか、すまなかったね。」と言ってくれたのだとか。

お母さんの方は、「そんなことはない。」の一点張りで、Eさんの気持ちを受け取ることもしなかったのです。Eさんは、「母に対して期待することは辞めようと気持ちの整理がついたはずなのに。こんな気持ちになる自分が恥ずかしい。」と続けました。

「もう兄に対する嫉妬や、母に対する期待する気持ちをなくしたい。」と涙ながらに訴えられたのです。もう十分に大人であり、自分の家庭も仕事も持ち、幸せなのだから良いのでは?と思いますか。

私がお伝えしたのは、真逆のことでした。「十分に愛されたかったという気持ちを無理になくそうとする必要はない。」ということ。なくそうとすれば、余計Eさんが辛くなるとわかっていたからです。

満たされなかった思い、未完了の思いというのは、少なからず誰しも持っているものです。その気持ちを封じ込める必要はありません。親から無視され続けたのであればなおさら、Eさん自身には、決して無視せず、大切に扱って欲しいと思ったのです。

カウンセリングでは、具体的に「大切に扱う」方法についてお伝えしました。Eさんは、吹っ切れた様子で、「このままの自分でこの気持ちを抱えながら、自分を大切にしていきたい。」と話されました。いずれEさんが、満たされなかった思いを、納得して成仏させる日が来ることでしょう。

さて、あなたは、ご自分の気持ちを大切に扱っていますか?

<相談内容は、守秘義務を遵守するため、実際の内容とは異なった形で書いております。何卒ご了承ください。>

まとめ
どんな感情であっても、自分で大切に扱うことが始まりになる

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